- 訪問美容の法律・条例
- 訪問美容の罰則
- 訪問美容の対象のお客様
美容の業は「美容室でする施術のこと」です。
訪問美容は通常の美容室の様に「店舗」を持つ必要がなくて、借金などのリスクの少ない起業の1つ。
リスクが少なくて「自分の身ひとつ」で始めることができる手軽さから、最近では徐々に人気が出てきている仕事ですね。
しかし「訪問美容」は認知が少なく、美容室に勤務している大半の美容師は訪問美容のことを詳しく知りません。
「訪問美容の法律・条例」を知らずに始めることで、業務停止・営業停止などの罰則をうけることになりかねないので、ここでしっかりと「訪問美容の法律・条例」を把握しておきましょう。
- 訪問美容の「法律・条例」を把握しておくことは大切
- 訪問美容の違反時に罰則があるので注意
- 訪問美容のルールを守って業務をしましょう
訪問美容の「法律・条例」
訪問美容の「法律・条例」によって、訪問して施術をしてもいい人が決まっています。
基本的に美容師は「美容室以外で美容の業をしてはいけない」のです。
これは美容師の国家試験でも出てくるので、誰もが習っていること。
しかし「特別な事情がある場合」は美容室以外で施術をすることを認められているのです。
(美容所以外の場所における営業の禁止)
第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。
引用元:美容師法
美容室以外で訪問美容が認められている場合
- 要介護・病気・怪我でヘアサロンに行くのが難しい
- 介護をしていて長時間自宅を離れるのが難しい
- 病気やケガで医師から自宅療養を指示されている
- 障がいがありヘアサロン行けない
- 妊娠中や育児中で美容室にいくことが難しい
- 結婚式や成人式に参列する
- 演劇などに出演する
- 住んでいる地域に美容所がない
要介護でヘアサロンに行くのが難しい
これおは「高齢」で美容室にいくことが難しい人です。
訪問美容ではここの層の人がお客様と考えている美容師も多いと思います。
そして「美容室に行くことが難しい人」が対象になるので、高齢というだけでは訪問美容のサービスを受けることが出来ない場合があります。
介護をしていて長時間自宅を離れるのが難しい
介護者だけでなく「介護をする人」も訪問美容の施術を受けることができます。
介護をしていることで、介護者から目を離すことができなかったり、外出をすることが難しい場合があるからです。
そんな時は介護者と一緒に訪問美容でカットしてもらうことや、介護をしている人だけが利用をすることも出来ますよ。
病気や怪我で医師から自宅療養を指示されている
病気や怪我などで、家から出ることが難しい場合も訪問美容を利用することが出来ます。
自宅療養の期間が終わると使うことが出来なくなるので、医師に自宅療養の期間などを確認する様にしましょう。
障がいがありヘアサロン行けない
「身体的・精神的な障がい」のある方で、美容室にいくことが難しい方も訪問美容を利用することが出来ます。
また「多動・過敏」など、美容室でじっとできない、騒いでしまう障がい児などの親御様からのご予約もありますよ。
精神的な障害ではパニック障害など、長時間同じ場所に居れない方が多いですね。
妊娠中や育児中で美容室にいくことが難しい
妊娠中の方や小さなお子様のいてる育児中の方も訪問美容を利用できるようになりました。
お腹が大きくて外出をすることが不安な方やつわりが酷い方など、美容室にいくこと難しい妊婦の方はたくさんいらっしゃいます。
そして小さなお子様がいてることで家から離れることが難しいお母様など、子供を家で見ながら施術を受けることが出来るということです。
結婚式や成人式に参列する
結婚式や成人式などの場所での訪問美容を利用することできます。
結婚式や成人式ではヘアセットがほとんどですね。
演劇などに出演する
「映画・ドラマ」などの撮影や舞台の場合も訪問美容を利用することが出来ます。
撮影中に美容室に行くわけにはいかないからですね。
住んでいる地域に美容所がない
住んでいる地域に美容室がない場合も訪問美容を利用することが出来ます。
山間部に住んでおり、近くに美容室がなくて高齢で運転免許を返納してしまったなど、美容室に行けなくて困っている方などが対象ですね。
訪問美容の違反時の罰則
美容師の基準
ア.業務停止(美容師法第10条第2項)
(ア)美容所以外の場所で美容業を行った場合
ただし、以下の場合は美容所以外の場所で美容を行っても処分の対象とはなりません。
・疾病、身体の障害等の理由により、美容所に来ることができない人に対して美容を行う場合
・婚礼その他の儀式に参列する人に対してその儀式の直前に美容を行う場合
・上記のほか都道府県が条例で定める場合
(イ)美容の業を行う場合に講ずべき以下の措置に違反したとき
・皮ふに接する布片及び皮ふに接する器具を清潔に保つこと
・皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替え、皮ふに接する器具を客一人ごとに消毒すること
・その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
イ.免許取消(美容師法第10条第3項)
美容師業務の停止処分に違反したとき
引用元:美容師法
美容師法では、違反しても刑事罰での罰則はありません。
しかし「業務停止・免許取り消し」になる場合もあるので、くれぐれも違反にならないように心がけましょう。
訪問美容の「都道府県・市区町村」ごとの条例
さきほど「訪問美容が認められている場合」を紹介しましたが、地域によって変わる場合があります。
それは「都道府県・市区町村」ごとに制定されている条例があるからです。
その地域によって訪問理美容の決まりが違う場合があるということです。
法律にも「施術する地域に条例がある場合は、条例に合わせる」と記載されているので必ず確認しましょう。
東京の訪問美容の条例
- 疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して理容・美容を行う場合
- 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容・美容を行う場合
- 山間部等における理容所・美容所のない地域に居住する者に対して、その居住地で施術を行う場合
- 社会福祉施設等において、その入所者に対して施術を行う場合
- 演劇に出演する者等に対して、出演等の直前に施術を行う場合
大阪の訪問美容の条例
- 疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して行う場合
- 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合
- 社会福祉法第2条第2項第1号から第4号まで及び第6号に掲げる事業を行う施設(以下の(1)から(5)の施設)に入所している者に対して行う場合
(1)生活保護法に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設
(2)児童福祉法に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設
(3)老人福祉法に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホーム
(4)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設
(5)売春防止法に規定する婦人保護施設
愛知県の訪問美容の条例
訪問理容
- 疾病その他の理由により、理容所に来ることができない者に対して理容を行う場合(理容師法施行令第4条第1項)
- 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容を行う場合(同第4条第2項)
- 港内に停泊中の船舶内において、その乗組員に対して理容を行う場合(理容条例第3条第1項)
- 社会福祉施設に入所している者に対して理容を行う場合(同第3条第2項)
訪問美容
- 疾病その他の理由により、美容所に来ることができない者に対して美容を行う場合(美容師法施行令第4条第1項)
- 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合(同第4条第2項)
- 社会福祉施設に入所している者に対して美容を行う場合(美容条例第3条第1項)
訪問美容を始める際は必ず「法律・条例」を把握いしておきましょう
訪問美容には「法律・条例」があり、決められた範囲で活動することが決められています。
そして意外と美容師でも知らない人が多く、よくわかっていない状態で訪問美容を始めようとする方がいます。
ある程度のことをわかっていても、地域によってかわってくるので「事前に確認」をしておくが大切ですよ。
「法律・条例」を破ってしまうことで、最悪「営業停止・免許取り消し」になってしまうので気をつけましょう。